2 シャリンバイのお話し




さて、大島紬の糸は、地糸(じいと)と絣糸(かすりいと)で

構成されています。

地糸の色は、たいがいは黒色です。

この黒色を出すには、まず、絹糸を藍色に染めます。

こういうことをするのを、下藍(したあい)と呼びます。

一方、シャリンバイ(車輪梅)を煮出して抽出液を作ります。

このシャリンバイというのは、タンニンを多く含みます。

どこの地方にも見られる街路樹がシャリンバイなのです。



そして、下藍を施した絹糸をシャリンバイ(テーチ木とも言います)を

煮出して抽出した液に20回繰り返し、漬けて染めます。

もちろん、一回ごとに液は交換されます。

そうしないと、きれいな、あの独特の茶色には染まらないのです。

そして、20回抽出液で染められたあと、鉄分を多く含む泥田に

一回漬けられます。

このシャリンバイ20回泥染め1回を一工程として、

これを4〜5回繰り返して、大島紬独特の深く

そして茶がかった黒色に仕上がるのです。

つまり、シャリンバイが20回×4ないしは5回で80回から100回、

そして、泥染が4〜5回も、ひとの手が加えられるのです。

これが、地糸の染めです。

絣糸のほうは、以前にも書きましたね。

もう一度、書きますと、まず、絹糸に締め機を施します。

締め機(しめばた)というのは、絹糸を木綿糸で締めることを言います。

絹糸は、水分を含むと広がろうとします。

反対に木綿糸は水分を含むと、縮まろうとします。

この作用を利用して、締め機は行なわれるのです。


すなわち、絹糸は乾いている状態のときに、

かなりの力で木綿糸で締められます。

そうして、テーチ木の液体の中に漬けられるのです。

すると、テーチ木のなかで、絹糸は広がり、木綿糸は縮まります。

そうすると、ますます木綿糸は絹糸に食い込み、

防染(ぼうせん)の役目を果たすと言うわけです。

そののち、テーチ木20回泥染1回を一工程として、

それを4〜5回繰り返されて、絣糸はできあがります。


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