5 一元式のお話し




今日は、なんのお話しをしようかな。

前回の約束通り、絣の続きをお話ししましょうか。

じゃ、前回は、7マルキのカタス式というのをお話ししたから、

今日は、一元式というのをお話ししましょう。

一元式っていうのは、「ひともとしき」って読みます。

この「元」っていうのは、数字の「2」を表します。

ちなみに「カタス」は「1」のことです。

すなわち、「一元」というのは「1×2」で「2」のことなのです。

当然、「二元・ふたもと」っていうのもあって、

こちらは「2×2」で「4」を表します。

この「元・もと」というのは、大島紬だけの用語ではなく、

全国共通の織物用語です。

ちょうど5マルキの一元式の大島紬が手許にあるので、

それを教材に使いましょう。

まずは、この画像をご覧あれ。



前回のカタス式(次の画像)とは、違う事がおわかりになると思います。



どこが違っているの?ってですか?

絣が前回のカタス式は、Tの字だったでしょう?

でも、この一元式は十の字に見えるでしょう?

形としては、風車のようにも見えますね。

さて、この一元式はどうしてこういう絣模様になるのでしょうか?

それは、経糸の絣糸と地糸の配列がカタス式と

異なっているためなのです。

では、一元式の配列をお教えしましょう。

その前にカタス式の配列を思い出してください。

はい、7マルキのカタス式(経糸)絣糸が1、地糸3でしたね。

つまり、絣1、地3、絣1、地3、絣1、地3、と並んでいました。

では、この5マルキの一元式の配列はこれです。

絣糸2、地糸3なのです。

絣2、地3、絣2、地3、絣2、地3、と並びます。

つまり、経糸は、白を表現する絣糸が2本連続して並ぶ事になります。

緯糸も同じく2本連続して並ぶのです。

そうなると、絣模様は十の字を、風車を形成する事ができるのです。

見方を変えると、カタス式のTの字と逆さになったTの字が

糸1本分ずれて、くっついたようにも見えますね。

ここで、注意をしておかねばならない事は、絣2、地3、という数字です。

7マルキのカタス式の場合は絣1、地3でしたね。

そのときに、絣糸は4本の糸の25%と言ったでしょう?

今回の5マルキの一元式は絣2、地3、ですね。

ということは、絣糸は5本の糸の40%ということになります。

一般的に、マルキの数が多くなればなるほど、

絣糸は多くなると思っていたでしょう?

でもね、少し違うのです。


7マルキと5マルキ、普通は7マルキの方が手間が

かかると思うでしょう?

でも、そのマルキの後ろにくっつく言葉で、すこし変ってくるのです。

ここで、5・7・9マルキのカタス式の絣糸の地糸の配列と割合、

つまり、手間のかかり度を書いておきましょう。

5マルキ カタス式 絣糸1、地糸4、 20%

7マルキ カタス式 絣糸1、地糸3、 25%

9マルキ カタス式 絣糸1、地糸2、 33%

こういう感じになるんだよ。

では、次に、一元式のほうも、ついでに書いておきましょう。

5マルキ 一元式 絣糸2、地糸3、 40%

7マルキ 一元式 絣糸2、地糸2、 50%

9マルキ 一元式 絣糸2、地糸1、 66%

このパーセンテージが大きくなればなるほど、

緻密な模様を織り出せるのです。

もっとも、カタス式と一元式の場合は、模様を表現する手段が

違うって言うほうが正しいかもしれませんね。

カタス式のほうは、絣のかたまり、集合体が面そのものになって、

絵模様を表すのに、優れているし、

一元式は、その絣の一粒一粒が模様そのものになるのです。

だからたとえば、一粒でも潰れたりすると、模様が成り立たないのです。

潰れていると、一目でわかりますよ。

その点を捉えて、産地では「ウソのない」織物と呼んでいます。

そのウソのない織物の頂点に、割り込み絣があるのですが、

それはまた、次の機会で。


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