52 大島のかほり




さて、みなさんは、


大島紬には特有の香りがあるのを、ごぞんじですか?


新鮮な反物ほど、その香りは強くあるように感じます。


甘く、せつない香りがするときもありますし、


泥くさい香りのするときもあります。


一度、この香りの由来はなんであるかを知りたくて、


奄美大島にある大島紬技術指導センターというところに


電話をして、染色部門の指導員の方に尋ねたことがあります。


すると、その方は、よくわからないけれど、シャリンバイが


うまく発酵するように砂糖を入れることがあるのですが、


甘い香りはそれかもしれませんねーとのことでした。


ま、有体に言うと、ご存知なかったんだと思いますが。。。


僕なりに考えると、お蚕さまの香りかもしれないし、


南国の海で獲れるフノリの香りかもしれないし、


泥田の香りかもしれません。


よい泥田にするためには、


サツマイモを田圃のなかに入れたりするそうですし。


鮮度のよい、生(なま)の泥大島には、


そういう泥大島独特の香りがするのだということを


覚えておいて下さいね。



その鮮度のよい、生の泥大島は、湯通しをすると、


その香りはものの見事に飛んでいきます。


どこに飛んでいくかというと、湯通しのお湯に溶け出すのです。


以前に、「奄美の泥T」というのを書きましたが、


この一番ダシのペットボトルの口に鼻を近づけると、


実に甘い香りがしました。


「へちま水みたいな化粧水にならへんかなぁ」


と思いましたよ。(笑)




そして、五番ダシぐらいになると、


ずいぶんと香りは薄くなるんですよ。


まったく、香りがなくなってしまうわけではないのですが、


かなり、希薄にはなります。


そうなったときに、なんだか、大切な甘い思い出が


消えてしまったような、そんな気持ちになってしまうんですよ。


泥大島の湯通しで「良い仕事をする」というのは、


糊を落とし、余分な泥を落とし、


そして、甘い香りをも落としてしまう、、、、


泥大島の湯通しというのはそういう仕事なのです。


でもこれをやらないと、後々、大変なことになるので、


「やらんとあきまへんねんで〜」


そやからね、鮮度のええ泥大島、手に入れはったらね、


ちょっとのあいだでええさかい、その大島のかほり、


楽しんでみてください。



では、またね。(旅)



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