58 泥大島に撥水加工をしてはいけない理由






今日は、泥大島に撥水加工をしてはいけない理由を書きます。


さて、泥大島というのは泥染め大島の略であることは


みなさん、ご存知ですね?


泥染めというのは、絹糸をシャリンバイで揉み込み、


石灰液につけ、それを数回したあと、


泥田につけて、大島紬独特の黒色を作ります。




ここで、余談ですが、泥染めは、


ほかの地方にもありますが、


石灰を使うのは、他では見られない染め方です。


この石灰を使うことによって、


絹糸にシャリンバイを固着させているのです。


そして、泥田につけることによって、


泥に含まれる金属イオンとシャリンバイに


含まれるタンニン質が化学反応を


起こすことによって、黒い色に染まるのです。


このように、泥染め大島は


絶妙のバランスの上に立っているのです。


絹糸は洋菓子のバームクーヘンのように、


シャリンバイのタンニン分が糸のまわりにくっつき、


石灰分がそのタンニンが絹糸から落ちないように、


また、とりまいている、、という状態なのです。


木の年輪を思い浮かべてもらってもいいですね。


そうやって、何重にもタンニン分が


とりまいている状態をイメージしてくださいね。


さて、そういう状態のところに、撥水加工をかけると、


どうなるか?


撥水加工というのは、樹脂加工です。


溶剤というものが使われています。


その溶剤は酸性であるかアルカリ性かの


どちらかなのです。


そのどちらであっても、この年輪は


こわれてしまうのです。


年輪がこわれることによって、


泥染めによる黒い色は流れ落ちるのです。


その結果、普通に締めただけなのに、、


泥大島は帯を汚す結果になるのです。


泥染め大島には、けっして、


撥水加工をかけてはいけませんよ。


ついでに言うと、泥大島の着物は、


ドライクリーニング(いわゆる有機溶剤による丸洗い)


をしてはいけません。


これも、泥染めを壊してしまいます。


メンテナンスとしては、小さい汚れは


部分的なシミ落としをし、全体的な汚れは、


解いて、水による洗い張りをし、


仕立て直しをしてください。


大島紬は繊細な織物なのです。


どうぞ、可愛がってやってくださいね。


では、またね。(旅)


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