62 閑話休題 足し布作戦







さて、お身内のかたから着物を頂いたとき、


たいへん、困ってしまうのが、身丈の短さじゃないでしょうか?


みなさんのおばあさま世代は非常に、背が低かったので、


身丈が四尺を切るなんてことは、よくあることです。


「おばあちゃんの着物、着てあげたいのに、


身丈が全然足りないので、着られないよ〜」と、


お嘆きのあなた、大丈夫ですよ。


この世界には、それなりの対処法があるのです。


それが、足し布作戦、俗に下駄履き(げたばき)とも


言いますが、短い身丈の着物を、


普通におはしょりをして着ることのできる着物に


変身させることができます。


まー、有体に言いますと、足らない身丈の分を


足してやるという、見たまんまの作戦なんですけどね。(笑)


でも、「足している」というのが、できれば、よそから見たとき、


分からないようにしたいのが、おんなごころって


もんじゃありませんか?


もちろん、自分は、わかっちゃいますが、見た目、


足したことがわからなくしてしまう方法が


この足し布作戦なのです。


では、用意するものを書きますよ。


普段、着ている着物一枚。


待ち針二本。


その着物、普段どおりに着てください。


着てくださったら、下の写真を参考になさって、




おはしょりの部分に待ち針二本、打ってください。


待ち針でケガをされないよう、気をつけて、


着物を脱いでください。


着物を畳に落として、モノサシかメジャーで測ってください。


まず、着物の肩山から裾までの長さ、


つまり身丈を測ってください。


たいがいはあなたの普段の身丈ってことに


なるでしょうけれど。


次に、Aですが、これは肩山からおはしょりまでです。


Bは、裾からおはしょりまでです。


つまり、足し布作戦は、おはしょりに隠しちゃおう


という作戦なのです。


もっと言えば、おはしょりになる部分に


足してしまおうという作戦なのです。


この作戦のよいところは、かなり、


身丈が稼げるという点です。


おはしょりの上下一寸は、そのときの着方ひとつで


見えてしまうかもしれないので、そこの部分まで、


足してはいけませんよ。


さー、測ってみましたか?


肩山からの身丈と、AとB。


これがわかったら、大好きなおばあちゃんの着物、


着ることができます。


洗い張りしてから、仕立替えしてみましょう!


足し布は、なにかのハギレを利用されるのもいいですし、


白生地の古いのでも、いいじゃないですか。


それを着物の地色に染めれば完璧です。


着物生活、すこしでも、広がり感を感じていただければ、


この一文を書いた甲斐があるってもんです。(笑)



では、またね。(旅)


(補足です)


足し布作戦に使用する足し布について、


すこし、説明が足りませんでした。


さて、布には収縮率というものがあります。


つまり、布は伸び縮みするっていう意味です。


そしてその収縮率、大きい布もあれば、少ない布もあります。


また、同じように見える布であっても、


生産された場所(国)によっても、異なります。


また、横方向に伸び縮みする布、


縦方向に伸び縮みする布と、


もう、千差万別、好きにやってくれと言いたくなるほど、


ひとつひとつ、さまざまです。


ですので、表地の収縮の特性を見極めて、


足し布もそれなりの、どんぴしゃでなくても、


それなりの特性を備えた布を使って、


足し布作戦を実行してみてください。


では。




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