大島といえば泥染2

飛翔け!本場大島紬へ

昨日の続きです。

昨日、地糸の染色の工程を「あー、しんど」と言いながら
延々と書きました。
まずは、それの説明にとりかかりましょう。

あ、その前に、僕が持っているこの本、
「本場奄美大島つむぎ 技術ノート赤塚嘉寛さん著」のことなのですが、てっきり、絶版だと思ったのですが、なんと、まだ、在庫があるそうなのです。

この類いの書籍は、業界に行き渡るとそれっきりという傾向があるのでてっきり、絶版だとばっかり、思ってしまいました。

昨日、僕自身の分を1冊、取り寄せることにしました。
そのときに、本からの引用も了承していただきました。
そして、有り難い事に貴重な写真の転載まで了承してくださいました。
赤塚先生、ほんとうにありがとうございます。
もし、この本をご希望の方がおられましたら、旅宛てにメールをください。
手に入れていただける方法を、ご案内しますので。(旅)


地糸の染色について
しゃりんばい染液で3〜5分揉みこむとやがて泡が出てきます。
その時点でしゃりんばい染液を取り替えます。
浴比20倍、0.1〜0.5%石灰液に漬けこんで振りつけます。
石灰液に漬け込むことで、しゃりんばいで染色した絹糸は赤みがかった濃褐色に変わっていきます。石灰を用いずに、しゃりんばい液だけで染色を続けると、200回染液を更新してもなかなか濃褐色になりません。
石灰液は固着剤ないしは媒染剤として大きな意味を持っています。
絹糸が濃褐色に染まったら、十分に乾燥します。
乾燥が終わったら田圃の泥で染めます。
田圃の泥で染色するときは、ごみが絹糸につかないよう、ザルか網を張った箱状のフルイを泥水に漬け、そのなかで、しゃりんばい染液で濃褐色に染めた絹糸を激しく振りつけます。
何回も絞り、はたいているうちに濃褐色の絹糸は泥染特有の黒色に変わっていきます。このように、田泥で染めた絹糸は水で十分洗い、余分の泥や汚れを除いてきれいにします。
さらに、しゃりんばい液で煮沸に達しない程度に加熱した後、放冷します。
これを乾燥しないでそのまま田泥で染色し、真っ黒に染めあがると、染色を終了します。
実際には、しゃりんばいで染色する前に、藍下(あいした)といって、藍染してから地糸染めにまわすのが多いようです。
参考資料です。
しゃりんばい染液による揉み込み染め
染める糸を染め鍋に入れ、煮出したしゃりんばい染液の3〜5倍量を注ぎかけ、揉みこみながら染色します。
5分くらい揉みこむと新しい染液と取り替えて揉み込みます。

泥染の風景です。

ほんとうに、ご苦労様です。

泥染の糸を干しているところです。


絣糸の染色の工程
(1)新しいしゃりんばい液で揉み込み染めをします。
(2)石灰液で揉み込み処理をします。
(3)新しいしゃりんばい液で揉み込み染めをします。
(4)新しいしゃりんばい液で揉み込み染めをします。
(5)新しいしゃりんばい液で揉み込み染めをします。
(6)石灰液で揉み込み処理をします。
(7)新しいしゃりんばい液で揉み込み染めをします。
(8)新しいしゃりんばい液で揉み込み染めをします。
(9)新しいしゃりんばい液で揉み込み染めをします。
(10)石灰液で揉み込み処理をします。
(11)新しいしゃりんばい液で揉み込み染めをします。
(12)新しいしゃりんばい液で揉み込み染めをします。
(13)新しいしゃりんばい液で揉み込み染めをします。
(14)石灰液で揉み込み処理をします。
(15)新しいしゃりんばい液で揉み込み染めをします。
(16)新しいしゃりんばい液で揉み込み染めをします。
(17)新しいしゃりんばい液で揉み込み染めをします。
(18)石灰液で揉み込み処理をします。
(19)新しいしゃりんばい液で揉み込み染めをします。
(20)新しいしゃりんばい液で揉み込み染めをします。
(21)新しいしゃりんばい液で揉み込み染めをします。
(22)石灰液で揉み込み処理をします。
(23)新しいしゃりんばい液で揉み込み染めをします。
(24)新しいしゃりんばい液で揉み込み染めをします。
(25)新しいしゃりんばい液で揉み込み染めをします。
(26)石灰液で揉み込み処理をします。
(27)新しいしゃりんばい液で揉み込み染めをします。
(28)新しいしゃりんばい液で揉み込み染めをします。
(29)新しいしゃりんばい液で揉み込み染めをします。
(30)乾燥します。
(31)田泥に漬け、ふりつけ染色します。
(32)水洗します。
(33)新しいしゃりんばい液で揉み込み染めをします。
(34)石灰液で揉み込み処理をします。
(35)新しいしゃりんばい液で揉み込み染めをします。
(36)新しいしゃりんばい液で揉み込み染めをします。
(37)新しいしゃりんばい液で揉み込み染めをします。
(38)石灰液で揉み込み処理をします。
(39)新しいしゃりんばい液で揉み込み染めをします。
(40)新しいしゃりんばい液で揉み込み染めをします。
(41)新しいしゃりんばい液で揉み込み染めをします。
(42)石灰液で揉み込み処理をします。
(43)新しいしゃりんばい液で揉み込み染めをします。
(44)新しいしゃりんばい液で揉み込み染めをします。
(45)新しいしゃりんばい液で揉み込み染めをします。
(46)石灰液で揉み込み処理をします。
(47)新しいしゃりんばい液で揉み込み染めをします。
(48)新しいしゃりんばい液で揉み込み染めをします。
(49)新しいしゃりんばい液で揉み込み染めをします。
(50)石灰液で揉み込み処理をします。
(51)新しいしゃりんばい液で揉み込み染めをします。
(52)新しいしゃりんばい液で揉み込み染めをします。
(53)新しいしゃりんばい液で揉み込み染めをします。
(54)石灰液で揉み込み処理をします。
(55)新しいしゃりんばい液で揉み込み染めをします。
(56)新しいしゃりんばい液で揉み込み染めをします。
(57)新しいしゃりんばい液で揉み込み染めをします。
(58)乾燥します。
(59)新しいしゃりんばい液で揉み込み染めをします。
(60)水洗します。
(61)新しいしゃりんばい液で揉み込み染めをします。
(62)石灰液で揉み込み処理をします。
(63)新しいしゃりんばい液で揉み込み染めをします。
(64)新しいしゃりんばい液で揉み込み染めをします。
(65)新しいしゃりんばい液で揉み込み染めをします。
(66)石灰液で揉み込み処理をします。
(67)新しいしゃりんばい液で揉み込み染めをします。
(68)新しいしゃりんばい液で揉み込み染めをします。
(69)新しいしゃりんばい液で揉み込み染めをします。
(70)石灰液で揉み込み処理をします。
(71)新しいしゃりんばい液で揉み込み染めをします。
(72)新しいしゃりんばい液で揉み込み染めをします。
(73)新しいしゃりんばい液で揉み込み染めをします。
(74)石灰液で揉み込み処理をします。
(75)新しいしゃりんばい液で揉み込み染めをします。
(76)新しいしゃりんばい液で揉み込み染めをします。
(77)新しいしゃりんばい液で揉み込み染めをします。
(78)石灰液で揉み込み処理をします。
(79)新しいしゃりんばい液で揉み込み染めをします。
(80)新しいしゃりんばい液で揉み込み染めをします。
(81)新しいしゃりんばい液で揉み込み染めをします。
(82)乾燥します。
(83)新しいしゃりんばい液で揉み込み染めをします。
(84)水洗します。
(85)しゃりんばい液に漬け、80℃ぐらいに加熱します。
(86)新しいしゃりんばい液で揉み込み染めをします。
(87)水洗します。
(88)ここで、なんと!、、(1)に戻って、3〜4往復するのですよ!

絣筵の泥染について(絣糸のことです)
絣の染色工程は上記の通りです。
絣筵の泥染は一般に地糸よりも難しいとされています。
絣が鮮明に出るか、毛羽立ちや糸切れがなく均一に染められるか、地糸より染色工程も長く手間がかかり、熟練を要するのです。
まず、絣筵糊抜きを十分に行なったかどうかで決まると言われるくらいです。
絣筵を一晩水に漬け、糊を落とします。絣筵を筒状に丸め、両端を持って突き洗いを繰り返します。糊がきれいに落ちたかどうかは洗うときの手触りと絣筵を絞り、広げ、明るいところへかざして見て、地の部分が一様に透き通る感じになることで分かります。
しゃりんばい染液の浴比は3倍、揉み込み操作は絣糸を傷つけないように軽く押さえるようにして2〜3分行ないます。石灰液は0.1〜0.5%の水溶液をよくかき混ぜて石灰が粉末のまま糸に付着しないように気をつけます。絣筵は完全に乾燥させてから、田圃に持っていきます。絣筵はしわくちゃにならないように、きれいに広げ伸ばした状態で乾燥させます。
田圃では、絣筵を泥水に浸透させた後、筒状に握り、少しひねるようにしながら、縦つきをします。
適当に絣筵を揉みこんで芯まで泥水が通るようにします。絣筵の耳部をこすりすぎて傷つけない様に注意し、絣筵全体をひととおり泥水で染色後水洗して絞り、十分に空気酸化させます。この段階で濃褐色から黒色に変わります。これが、しゃりんばい泥染の1工程ですが、これを3〜4回繰り返すと、泥染独特の黒色と風合いが得られます。
しゃりんばい泥染においては、絹糸の増量が著しく増加します。
これによって本場大島紬の独特の風合いや光沢が作り出されるのですが、摩擦堅牢度などへの影響を考えると、絣糸については20%、地糸については40%が適当な重量増加率です。しゃりんばい泥染糸は色素や金属がレーキを形成し、繊維を被覆しています。表面に不完全に染着している部分や泥土中から付着してきた不純物を取り除くため中性洗剤0.1〜0.2%溶液でソーピングを行ない水洗します。こうすると、摩擦堅牢度もすこし向上します。
参考資料です。
絣筵(かすりむしろ)をしゃりんばいの染液で染めているところです。
絣筵については、また、別項で記述することにしましょう。

しゃりんばいについて
ばら科しゃりんばい属しゃりんばい。方言、てーちぎ。
暖かい土地の海岸付近に生える常緑低木または小高木で庭木にも使用されます。樹木の高さは1〜4mになります。
4月〜5月ころに白色のかわいい花が咲きます。
9月〜10月頃果実が黒紫色に熟します。
ほそばしゃりなばい、ながばしゃりんばいがあります。
しゃりんばいの染着成分はタンニンと呼ばれています。タンニンは皮をなめすものの総称です。植物に広く存在し、収斂味を有します。
しゃりんばいタンニンはフラバンジオールの二量体、三量体を主成分とするポリフェノールであることがわかってきました。しゃりんばいを朝から晩まで煮沸を続けて抽出液を取るのは重合を進行させるためではないかと考えられています。しゃりんばいを細かくチップ状にして、煎出すると2〜3時間でタンニンの抽出の増加は停止します。それにもかかわらず煮沸を続けるのは何の為か長いあいだ分かりませんでした。


これが、いわゆる大島紬の「泥染」の工程なのです。
この工程の文字の多さで、作業の大変さを
すこしでも感じていただけるものと信じて、
あえて、省略せずに羅列に及びました。

産地や呉服屋さんのサイトで、簡潔に、
「しゃりんばいで数十回染めて、泥田に1回、
これを数回繰り返すのです。云々」
これで済まされています。

僕の率直な感想は、
「泥染って、自然界の偶然の産物だったかもしれないけれど、
実際に作業している方たちにとっては、
とてつもなく、手間のかかる大変な仕事なのだ!」
そのように感じました。

ではでは。(旅)


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