7 土曜の寒い朝


旅から旅です。
土曜の朝、愛犬と散歩してたとき、ちおいんさん(知恩院)の三
から和順会館のほうを見ると、若そうな女のひとが外から帰ってきやはった。髪をアップに上げ、着物を着たはった。
多分この近くの髪結いさんで髪のセットと着付けをしてもらわはった帰りやろなぁと思った。
そのひとの着物姿は、あまり面白みのあるコーディネートではなく、「これが非の打ち所もない、正統派よ!」という風だった。
どんな風だったかというと、白群地(びゃくぐんじ)を主色にした大田子(たいでんし)調の多色暈し(たしょくぼかし)の袷の上に、柿朱地(かきしゅじ)に暗褐色の少し大きめの幾何学文様の道行きコートを羽織ってはった。多分、そのひとは日頃、着物とは縁のない生活をしてはるひとやろなぁと思った。建物に入る道が少しばかり、勾配がきつうて、エナメルの草履から足袋をはいた足が滑り落ちそうになって、一生懸命親指に、ちからを入れてはるの
が遠目でも見て取れた。そやけど、そのひとの、着物を着ているという晴れがましさと喜びが私のほうにまで伝わってきて、その日の朝はものすごい寒さやったけど、気持ちを、とっても爽やかにしてくれはった。
おおきに。

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