旅から旅です。
所用があって五條大橋の辺りを歩いてたときのことです。前から、多分、ご夫婦やろなぁと思えるおふたりさんがこっちのほうに、歩いてきやはった。旦那はんのほうは背広にオーバー、奥さんのほうは着物やった。
なんか、こう、着物を着なれたというか、さりげなく着くずれた着かたが印象に残った。菜の花色の無地の袷に桜色に薄雲鼠(うすぐもねず)色の、随分大きめの葡萄の葉と実を堰出し(せきだし)で表現された道中着を羽織ってはった。
一見、お年の割に(六十歳を越えられているように見うけられた)模様が大きいなぁと思ったけれど、よくよく鑑賞すると地色と柄色の色が抑えられているので、模様が大きくなければ却って陳腐な道中着になっていたのかな、と思った。やさしい感じのする道中着やった。なんか、おしゃれやなぁと、思った。そして濃紺地のビロードのショールをさりげなく肩にかけて、しんどそうに草履を引きずるようにして京阪五条の地下鉄の入り口に下りていかはった。気ぃつけて、帰ってや。おばちゃん。
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