呉服って見た目には美しいけれど、衛生面ではどうなんだろうかって思ったことはありませんか?
だいたい、織物でも友禅ものでも、できあがってからすぐに買えると言うのは奇跡に近いものがあります。
特別に誂えた着物なら、別ですが。
大抵は、呉服の反物として完成したあと、いろんなひとに触られて、いろんなところを旅して安住の地、つまり誰かの着物になるわけです。ま、これが流通と言うものなのですけどね。
その間、呉服屋さんの店頭に飾られたり、問屋さんの展示場に置かれたり、仮絵羽の呉服などは衣桁に吊るされたりします。
当然、そのあいだに生地の表面にはホコリがくっつき、反物の耳は手垢で汚れるって寸法です。なかには、ひどいタバコの匂いをくっつけている反物も沢山あります。
展示場で無神経に喫煙をするひとがいるからです。
巻き棒に巻かれたまんまの反物は時として、中ほどがカビって厭な匂いがついている場合もあります。
なかなか売れない反物ほど、そうした汚れがキツイわけなのです。
ところが、そのように結構汚れている反物を仕立てるとき、あまり、汚れ落としをしたという話しは聞いたことがありません。せいぜい、湯のしをするくらいなものです。
その湯のしをしている現場に行くと、すごい匂いがしています。
下から蒸気を当てるものだから、反物の匂いがモロ、職人さんの鼻先を襲うのです。
そこで、みなさんに僕から提案をします。
できあがってから相当な年数の経過した反物を仕立てるまえには、生き洗い(ドライクリーニング)に出しましょう。そして、ホコリや手垢や手の油分を取り除きましょう。
汚れが取れて、ほんとうの地色が出てくるかも知れませんね。
色鮮やかになりますよ、きっと。
本当は、水での洗い張りがいいのですが、これをすると、刺繍の糸が縮んだり、金加工が剥げてしまったり、濃い色が泣いたりしないとも限りませんので、ドライがいいと思います。
そういう意味では、織物はとっても有利です。
なぜなら、織物は湯通し(ゆどおし)という湯による糊落としをしますが、ついでに副産物として、汚れ落としも兼ねるからです。
表題の「最近、思ったこと」というのは、つい最近、大島紬プロジェクトで買っていただいた大島紬の湯通しをしていたときにふと、思いました。
湯通しというのは、大量のお湯を何遍も交換して、糊気を落としてしまうという作業なのですが、ただ漬けておくだけではなく、何回もお湯の中でたぐったりします。
そのときに、泥や糊だけでなく、結構、汚れというか、ホコリが湯の上に浮き出ます。
「はぁっー、きれいになったなぁ!」って心の底から思いました。
そして思ったことは、「織物って、ほんと、衛生的なんだな」でした。
ところで、余談ですが、湯通しもいろいろあるんですよ。
時間と手間をかけて、十分に糊を落とすところと、そうでないところと。
では、またね。(旅)
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