手織りも織機ものもすべて、糸が撚ってあるのが
お分かりになると思います。

画像B
拡大すると、もっとよく分かるでしょう。
冒頭に書いた「シャリやわ度」のみっつのパターン、「シャリシャリやわ」
「シャリやわ」「シャリやわやわ」は、どこから生まれるのでしょうか?
それは、ふたつのファクターが考えられます。
まずは、糸の撚り方(よりかた)です。
画像Aの糸で織られた夏大島の「シャリやわ度」は、
上から「シャリやわやわ」、2番目が「シャリシャリやわ」、
3番目が「シャリやわ」なのです。
緯糸を見ていると、なんとなく、織り上がりの風合いも見えてくるのです。
ちなみに、4番目は「シャリシャリ」なのです。
上の3本の手織りの糸よりも細く、撚りもきついので、
「しゃりしゃり」という風合いになるのかもしれません。
でも、不思議な事に、湯通しすると、4番目は「やわやわ」になるのです。
そして、ふたつめのファクターは、織りの職人さんの癖なのでは
ないかと思っています。
僕は、以前、同じ糸で織られた夏大島を二反、見たことがあります。
もちろん、同じ糸なんだから、同じ柄ですよ。
でも、織った職人さんは違うひとだったのです。
その二反の夏大島は、みごとに違う風合いでした。
ひとつは、「シャリシャリやわ」でしたし、もうひとつは、
「シャリやわ」でした。
どうやら、職人さんによって、緯糸の張り方が違うようなのです。
人間であるがゆえに、織り上がりの風合いが違ってくるというのも、
なにかしら、僕には好ましいものに思えるのです。
織りの職人の数だけ、風合いがあるのかもしれません。
さて、ここで、手織り(経緯絣)の夏大島と織機ものの夏大島について、
言及したいと思います。
両者の価格差を考えると、そのときそのときのお財布の
状態を考えられて、選択されるのが良いのではないかと思います。
なにも、織機ものだからということで嫌うことはないのです。
夏の着物の代表である絽も、生地は歴とした織機ものなのですから。
ベストチョイスは、両方、手織りも織機ものも持つべきだと思うのです。
いろんなシチュエーションに応じて、手織りを着たり、
織機ものを着たりされては、いかがでしょうか?
では、またね。(旅) |